利用規約作成の専門サービスを提供している、行政書士の坂本倫朗です。

ウェブサービスで、会員登録やサービス利用申込を行うときには、利用規約が表示され、その利用規約に同意してもらうことで手続きを進めるのが一般的です。

注意していただきたいのは、利用規約というのはそれらの会員登録やサービス利用申込の時だけ表示すればいいのではありません。

利用規約については、利用者から「利用規約の内容をみせてください」と言われたときに、遅滞なくお見せする必要があるのです。

民法第五百四十八条の三には、提携約款の開示について次のように記載があります。

第五百四十八条の三 定型取引を行い、又は行おうとする定型約款準備者は、定型取引合意の前又は定型取引合意の後相当の期間内に相手方から請求があった場合には、遅滞なく、相当な方法でその定型約款の内容を示さなければならない。ただし、定型約款準備者が既に相手方に対して定型約款を記載した書面を交付し、又はこれを記録した電磁的記録を提供していたときは、この限りでない。
 定型約款準備者が定型取引合意の前において前項の請求を拒んだときは、前条の規定は、適用しない。ただし、一時的な通信障害が発生した場合その他正当な事由がある場合は、この限りでない。

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=129AC0000000089

定型約款準備者」とは、ウェブサービスにおいてはサービス提供者のことと捉えます。

「提携約款」は、 ウェブサービスにおいては 利用規約のことを指していると考えてよいでしょう。

利用者が利用規約について開示を求めたら、開示しないといけません。

ただし書きのところで、既に利用者に対して利用規約を「記載した書面を交付し、又はこれを記録した電磁的記録を提供していた時は」、その利用者の「みせてください」という請求にその都度応える必要はないと、解釈することが出来ます。

この後半のただし書きの用件を満たすための簡易的な方法として、利用規約は、いつもウェブサービスのフッターや、メニュー内の分かりやすい位置にリンクを用意して、利用者に対して分かりやすく表示しておくとよいでしょう。

もしも利用規約の開示をしなかったら・・・

ほとんど見たことないですが、利用規約を開示していない状態で、利用者の開示請求あったのにもかかわらず、開示を断った場合は、第五百四十八条の三の第2項により、契約に対する合意がなかったものとされます。

これは契約義務違反でもあるので、損害賠償を請求される可能性も出てきます。

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利用規約を作成するときに注意することだけでなく、利用規約を作成した後に注意することをあらかじめ知っておくと、ウェブサービスの開発をスムースに行えます。