利用規約作成の専門サービスを提供している、行政書士の坂本倫朗です。
ウェブサービス上での利用規約は、契約書とは違うものですから、契約時に押印したりサインしたりといったことをしません。
それでも利用規約を利用した契約が成立するのは、「みなし合意」について法律の定めがあるからです。
みなし合意とは、「一定の方法で合意を得ていたら、法的に合意があったものと考えましょう」ということです。
民法には次のように規定があります。
第五百四十八条の二 定型取引(ある特定の者が不特定多数の者を相手方として行う取引であって、その内容の全部又は一部が画一的であることがその双方にとって合理的なものをいう。以下同じ。)を行うことの合意(次条において「定型取引合意」という。)をした者は、次に掲げる場合には、定型約款(定型取引において、契約の内容とすることを目的としてその特定の者により準備された条項の総体をいう。以下同じ。)の個別の条項についても合意をしたものとみなす。
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=129AC0000000089#Mp-At_548_2
一 定型約款を契約の内容とする旨の合意をしたとき。
二 定型約款を準備した者(以下「定型約款準備者」という。)があらかじめその定型約款を契約の内容とする旨を相手方に表示していたとき。
不特定多数の利用者に画一的に適用する利用規約は、ここでいう提携約款に含まれると考えていいでしょう。
法律では、「あらかじめその定型約款を契約の内容とする旨を相手方に表示して」いる状態で、サービスの利用者が利用規約を「契約の内容とする旨の合意をしたとき」に合意があったものとみなすのです。
合意があったと言えるための具体的な方法
合意があったと言えるようにするためにはサービス上のデザインをどのようにしていればいいのでしょうか?
電子商取引および情報材取引等に関する準則(経済産業省、令和2年8月)によると、次のように場合の例示がされています。
(利用規約が提携約款として契約の内容とになされると考えられる場合)
https://www.meti.go.jp/press/2020/08/20200828001/20200828001-1.pdf
・ウェブサイトで定型取引を行う際に、事前に契約の内容とすることを目的として利用した利用規約を端末上に表示させるとともに、その末尾に「この利用規約を契約のない湯王とすることに同意する」との文章とチェックボックスを用意し、そのチェックボックスるにチェックを入れなければ契約の申し込みの手続きに進めないようになっている場合
・ウェブサイトで定型取引を行う際に、申込ボタンや購入ボタンのすぐ近くの場所に、事前に契約の内容とすることを目的として作成した利用規約を契約の内容とする旨を表示している場合
補足すると、 「申込ボタンや購入ボタンのすぐ近くの場所に、事前に契約の内容とすることを目的として作成した利用規約を契約の内容とする旨を表示している」 場合であっても、利用規約がすぐに見つからない状態であれば、申込時に「利用規約の内容について確認できる状態ではなかった」と言われる可能性があります。
それを回避するためには、申込ボタンや購入ボタンのすぐ近くに利用規約についてリンクを張っておくとよいでしょう。
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利用規約を作成するときに注意することだけでなく、利用規約を作成した後に注意することをあらかじめ知っておくと、ウェブサービスの開発をスムースに行えます。