利用規約作成の専門サービスを提供している、行政書士の坂本倫朗です。

前の記事で、ウェブサービスにおいては、利用申込者が利用規約の内容に合意をする意思表示をしたとき、契約が有効となると書きました。

それでは、あなたが新サービスを作るとき、具体的にはどのように利用規約を設置すればよいのでしょうか?

これについて、解釈を整理したものが「電子商取引及び情報財取引等に関する準則」というものに記載されています。

この準則の内容は、インターネット上で閲覧することが出来ます。

この準則には、次のように記載があります。

(利用規約が定型約款として契約の内容とみなされると考えられる場合)

・ウェブサイトで定型取引を行う際に、事前に契約の内容とすることを目的として作成した利用規約を端末上に表示させるとともに、その末尾に「この利用規約を契約の内容とすることに同意する」との文章とチェックボックスを用意し、そのチェックボックスにチェックを入れなければ契約の申込みの手続に進めないようになっている場合

・ウェブサイトで定型取引を行う際に、申込みボタンや購入ボタンのすぐ近くの場所に、事前に契約の内容とすることを目的として作成した利用規約を契約の内容とする旨を表示している場合

電子商取引及び情報財取引等に関する準則 令和2年8月 経済産業省 P24

この文章だけではイメージしづらいかと思いますので、図で説明します。

①ウェブサイトで定型取引を行う際に、事前に契約の内容とすることを目的として作成した利用規約を端末上に表示させるとともに、その末尾に「この利用規約を契約の内容とすることに同意する」との文章とチェックボックスを用意し、そのチェックボックスにチェックを入れなければ契約の申込みの手続に進めないようになっている場合

 ①は、次の図1-1のように、利用規約を表示するとともに、末尾にチェックボックスを配置するかたちです。

■図 1ー1 末尾にチェックボックスを配置した例

チェックボックスにチェックを付けた後で「次へ」と書かれたボタンを押さなければ次へ進めないようにするのです。

なお、「次へ」という文言は、画面構成にあわせて「申し込む」「購入する」「登録申請」「同意する」という文言に適宜変更しても大丈夫です。

今度は、もう一つの➁を図で示します。 

➁ウェブサイトで定型取引を行う際に、申込みボタンや購入ボタンのすぐ近くの場所に、事前に契約の内容とすることを目的として作成した利用規約を契約の内容とする旨を表示している場合

これは、たとえば次の図1-2のように、利用規約のすぐ下に「利用規約に同意して申込む」と書いたボタンを配置するかたちです。

■図 1-2 ボタンに同意を促す文章を記した例

 「すぐ近くの場所に」と書いてはありますが、まず利用規約を読んでもらうべきですので、利用規約を上に表示して、その下に「利用規約を契約の内容とする旨」を表示するのが自然です。

さて、これまでの2つの図で示したように、利用規約は全文表示しないといけないのでしょうか?

電子商取引及び情報財取引等に関する準則では、利用規約の開示について次のように記されています。

ウェブサイトを通じた取引やウェブサイトの利用に関して契約が成立する場合に、サイト利用規約がその契約に組み入れられる(サイト利用規約の記載が当該契約の契約条件又はその一部となる)ためには、①利用者がサイト利用規約の内容を事前に容易に確認できるように適切にサイト利用規約をウェブサイトに掲載して開示されていること、及び②利用者が開示されているサイト利用規約に従い契約を締結することに同意していると認定できることが必要である。

電子商取引及び情報財取引等に関する準則 令和2年8月 経済産業省 P39

つまりは「容易に確認できるように適切に利用規約をウェブサイトに掲載して」開示してあれば要件を満たすので、申込画面に利用規約を全文表示しなくても、リンクを設置することで対応できると考えられます。

図1-1や図1-2の規約文の表示に代えて、リンクを設置する場合は図1-3や図1-4のようになるでしょう。

■図 1―3 利用規約をリンクで表示した例1

■図 1-4 利用規約をリンクで表示した例2

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利用規約を作成するときに注意することだけでなく、利用規約を作成した後に注意することをあらかじめ知っておくと、ウェブサービスの開発をスムースに行えます。