利用規約の作成時に意外に見過ごされがちなのが、「いつの時点で契約が成立するか?」

ということです。

ユーザーから利用規約に同意してもらうことも、契約書を取り交わすのと同じ契約です。

利用規約(約款)を使った契約の合意は、「みなし合意」と呼ばれます。

みなし合意とは、1対1で契約の合意をしてはいないけど、法律的には契約の合意があったとみなして取り扱うということです。

紙の契約書に押印したり、電子署名をしたりして電子契約書を交わすわけではないですから、契約に合意したことが、はっきりわかるような仕組みにしておく必要があります。

では、本題です。

利用規約を使ってインターネット上で契約をするとき、いつの時点で契約が成立するのでしょうか?

たとえば、利用規約と申込ボタンが表示されているウェブサイトがあるとします。

普通に考えると、利用申込者がその利用規約に同意して申込ボタンを押したとき、契約が成立します。

利用規約と申込ボタンの表示が「申込の誘引」であり、利用申込者がその利用規約に同意して申込ボタンを押したときに「申し込みの承諾」があったものとして契約が成立するのです。

難しく書いていますが、①サービス提供者が「サービスの条件はこのようになります」と表示して、②利用申込者が「使います」とボタンを押したときに契約が成立します。

ところが、この①と②だけでは契約が成立しない場合もあります。

利用規約に「利用申込者が申込した後、当社で会員登録の審査を行い、審査合格の通知をした場合に契約が成立します」

と書いている場合です。

契約の成立時点が申込ボタンを押したときでないことを明記している場合は、利用申込者が申込ボタンを押しても、まだその時点で契約は成立しません。

この場合だと、①サービス提供者が「サービスの条件はこのようになります」と表示して、②利用申込者が「使います」とボタンを押し、さらに③サービス提供者が審査合格の通知をしてようやく契約が成立するのです。

利用規約に「審査合格の通知をした場合に契約が成立します」と書いているのに、審査合格の通知を送る仕組みづくりをしていないケースがあります。

たとえば、審査合格のお知らせをせずに、IDとパスワードのみをお知らせしている場合です。

ユーザーは「もうこれで審査に合格したのかな」と思いつつ利用することになりますが、契約が成立したのか曖昧な状態のまま利用してもらっているのでキケンです。

この状態は、ユーザーから「私は審査合格の通知をもらっていないから、まだ契約は成立していのではないですか」

と突っ込まれてしまうスキを作っていることになります。

利用規約を、雛形を使って作成したり、外注に頼んで作成したりして、全体の流れを詳細に検討していない場合にこのようなことが起こりえます。

利用規約だけみて完成度を高めようと考えてはダメで、利用規約がウェブサービスの実態とあっているか、業務の流れをテストしてみることが大事です。