利用規約作成の専門サービスを提供している、行政書士の坂本倫朗です。

ビジネスでは、いろいろな法律が関わってきます。

そのため利用規約もいろいろな法律を無視しては作れません。

利用規約を自作する場合、同業他社の利用規約を参考にされる方がほとんどです。

もちろん同業他社の利用規約をそのまま利用することはいけませんが、参考にすること自体を著者は否定しません。しかし、ただ参考にするだけでなく、どんな法律が関わっているのかを知ったうえで参考にした方がよいのです。

関わっている法律を知っていると、参考にする利用規約の読み方も変わってくるはずです。

多くのウェブサービスに関わるのは、以下の法律です。

  • 民法
  • 知的財産権に関する法律(著作権法、特許法、実用新案法、意匠法、商標法)
  • 個人情報の保護に関する法律
  • 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律

さらにウェブサービスの内容によっては、以下のような様々な法律が関わります(以下のものが全てではありません)。

  • 消費者契約法
  • 特定商取引に関する法律(特定商取引法)
  • 不当景品類及び不当表示防止法(景品表示法)
  • 不正競争防止法
  • 電気通信事業法
  • 食品衛生法
  • 健康増進法
  • 種苗法
  • 酒税法
  • 医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(薬機法)
  • 医師法
  • 弁護士法
  • 下請代金支払遅延等防止法(下請法)
  • 宅地建物取引業
  • 職業安定法
  • 旅行業法
  • 金融商品取引法
  • 資金決済に関する法律(資金決済法)
  • インターネット異性紹介事業を利用して児童を誘引する行為の規制等に関する法律(出会い系サイト規制法)

法律名を列挙しましたが、ひょっとしたら、これだけで拒否感を感じてしまったかもしれません。

自社のウェブサービスに関わる法律を全文読むのが一番よいですが、なかなかとっつきにくいのも事実です。

もし法律文に慣れていないのであれば、とっかかりとして次のことを試してみてください。

取り組むウェブサービスがどんな法律と関わっているのか分からない場合、まずは検索します。

もし出会い系サイトを作ろうとしているのであれば、「出会い系サイト 法律」という言葉で検索すると、関連する法律がわかります。

次に法律の内容を確認します。法律文は読み下しにくいものですが、いきなり全文を読む必要はありません。

まずは最初の部分を読んでみます。

法律の第1条や第2条をみると、その法律を作った目的が記載されています。

「この法律は○○○○に寄与することを目的とする」

といったものです。

話の流れで出会い系サイト規制法を引き合いにしますが、この法律の第1条には次のように記載されています。

第一条 この法律は、インターネット異性紹介事業を利用して児童を性交等の相手方となるように誘引する行為等を禁止するとともに、インターネット異性紹介事業について必要な規制を行うこと等により、インターネット異性紹介事業の利用に起因する児童買春その他の犯罪から児童を保護し、もって児童の健全な育成に資することを目的とする。

この部分を読むだけでも、何に気を付けてサービスを運用し、サービス内で何を禁止すればよいのか、おおよその検討がついてくるはずです。

【お知らせ】

ウェブサービスをトラブルから守る利用規約の運用方法アマゾンから販売しています。

利用規約を作成するときに注意することだけでなく、利用規約を作成した後に注意することをあらかじめ知っておくと、ウェブサービスの開発をスムースに行えます。