利用規約作成の専門サービスを提供している、行政書士の坂本倫朗です。

利用規約は作って終わりではありません。

作って掲載した利用規約も、その後のウェブサービスの状況に合わせて変更しなければならない時があります。

次のような場合に利用規約を変更することが多いようです。

(1)サービスの内容を変更するとき

(2)法改正に対応するとき

(3)トラブルが生じたとき

順番に見ていくことにしましょう。

(1)サービスの内容を変更するとき

ほとんどのウェブサービスは、初回リリース時に全ての機能を用意するのではなく、初回リリース後も段階的に機能を追加しつつプロジェクトを進めていきます。

最もよくみられるケースは、まず無料版としてウェブサービスをリリースし、その後一定期間が経ってから有料サービスを提供するといったものです。

また、最初は1種類だけのシンプルな料金設定にして、後から3種類の料金設定をして選べるようにするというウェブサービスもよく見られます。

こういった段階的なバージョンアップが予定されいてるウェブサービスであれば、利用規約についてもあらかじめバージョンアップすることを見越して作成しておくと時間の節約になります。

たとえば料金があとあと有料になる場合は、利用料金の支払方法やキャンセル方法などを、無料の時期から記載しておくのです。

しかし、いつも想定通りに運営をするわけにはいかないかもしれません。

ウェブサービスでは公開した後も様々な変更を行っていきます。

支払いルールを変更したり、サービスを追加したりするとき、規約の変更が必要となる可能性があります。

その逆に、一部のサービスを取りやめるときも、利用規約の変更が必要となる可能性がるでしょう。

こうした、最初の利用規約作成時には想定していなかった変更があった場合は、その都度、変更する必要がないか見直す必要があります。

(2)法改正に対応するとき

想定通りにいかないものは、サービスの運営だけに限りません。

次に紹介するのは、法律の変更によって、外から利用規約の変更を迫られるケースです。

たとえば薬機法は、規制する内容が多く、法改正が繰り返し行われます。

個人情報保護法は2年に1度くらいの頻度で法改正がされます。

大きな変更もありえます。

2020年4月より施行された新しい民法には、定型約款に関する条項が追加されました。これは大きな法改正でした。

この改正は、すでにウェブサービスを運用しているサービス運営者に、いろいろな利用規約の変更を求めました。

たとえば、「当社は利用規約を自由に変更できることができます。変更後の利用規約は、掲載後直ちに効力を発します。」という利用規約を見たことがあると思います。

現在の民法では、このように制限なく自由な変更をすることは認められていません。

法律で定められた変更をする必要があります。

なお、その変更方法については、後の「利用規約を変更するときの手順を知ろう」のページで解説します。

(3)トラブルが生じたとき

ウェブサービスの運営で起こりうる問題を100%予見することはできません。

利用規約を作ったときには想定していなかったトラブルに見舞われることもあります。

ユーザーとのトラブルかもしれませんし、ウェブサービスのユーザーではない第三者とのトラブルが起こるかもしれません。

 トラブルが生じてしまったら、また同じトラブルが繰り返されないための予防策として、利用規約を追加修正して対応することが有効策です。

【お知らせ】

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利用規約を作成するときに注意することだけでなく、利用規約を作成した後に注意することをあらかじめ知っておくと、ウェブサービスの開発をスムースに行えます。