出会い系サービスやマッチングアプリは現代の出会いの形として一般的になりつつあります。

東京都も提供しています。

スマートフォンの普及により誰でも簡単にアプリを通じて異性とつながることができる時代になりました。
その一方でサービス運営側には法的な規制が数多く存在します。
その中でも特に重要なのが「インターネット異性紹介事業」に関する届け出です。
この届け出を怠ると罰則の対象となるだけでなく、
サービスの信用や継続性にも大きな影響を与える可能性があります。

実際にウェブサービスの運営者の中には「出会い系ではないから関係ない」と考えている方も少なくありません。
しかし法律の解釈は想像以上に広範囲に及び、
一般的なマッチングアプリや恋愛を前提としたチャットサービスも対象となる場合があります。
法令を正確に理解し、
適切に届け出を行うことは事業運営の基本であり、
軽視することでリスクが増大してしまいます

私はこれまでに多くのウェブサービス事業者から相談を受けてきました。
その中には運営開始後に警察からの指導が入り
あわてて届け出や改善を行ったケースもあります。
こうしたトラブルは事前に適切な手続きを行っていれば防げたものであり、
非常にもったいないと感じています。

本記事ではウェブサービス法務を専門とする行政書士の立場から
日本におけるインターネット異性紹介事業の規制について解説していきます。
具体的にはどのようなサービスが対象になるのか
届け出の方法や注意点
そして実務上のトラブル事例などを紹介しながら
これから出会い系サービスを立ち上げたいと考えている方や
すでに運営しているが法務面に不安がある方に向けて
実践的な情報をお届けします

法規制を正しく理解し、
必要な手続きを踏むことはリスクを減らし、
サービスの信頼性を高めるために欠かせません。

日本での異性紹介事業とは?その定義と対象サービス

出会い系サービスを運営する際に、
まず確認しなければならないのが「インターネット異性紹介事業」に該当するかどうかです。
この区分に該当する場合、
風営法に基づき所轄の公安委員会へ届け出を行う必要があります。

具体的には、
事務所の所在地を管轄する各警察署の生活安全課に書類を持っていきます。
古物商も取り扱っていますので、ECサイトで古物をあつかっている方は、
なじみがあるかもしれませんね。
生活安全課に行くときは予約をしてから行くことをお勧めします。

届け出を怠れば、運営者は処罰の対象となり、
最悪の場合サービスの停止を命じられることもあります。

インターネット異性紹介事業とは、異性との交際を希望する者同士を、
インターネットを通じて紹介・仲介するサービスのことを指します。
風営法第31条によってその存在が明記されており、
利用者に対する年齢確認や、個人情報の適正な管理など、厳格な義務が課せられています。
つまり、出会いの場を提供するすべてのウェブサービスが、規制の対象となり得るのです。

運営者の中には「うちは出会い系ではない」と主張される方もいますが、重要なのは“利用者の実態”と“サービスの機能”です。
運営者の意図や宣伝文句ではなく、実際に異性交際を目的としたやりとりが可能な仕組みがあるかどうかが、判断基準となります。

対象となるサービスの例

以下のような機能や特徴を持つサービスは、インターネット異性紹介事業に該当する可能性があります。

  • 恋活・婚活を目的とするマッチングアプリ
  • チャット機能を用いて異性と直接会話できるウェブサービス
  • メッセージのやりとりが可能な掲示板やSNS型サービス
  • ユーザー同士でプロフィールを検索・閲覧し、異性に接触できる構造のサイト

特に注意すべきは、AIによって相手を自動推薦するマッチングシステムや、イベント連動型のオンライン出会い機能などです。
これらも内容によっては、規制対象と判断されることがあります。

一方で、異性交際を目的としないマッチングサービス、
例えばビジネスマッチングや趣味の交流を目的とするものは、対象外となる場合があります。
ただし、これも実際の利用者の行動や、サービス上の導線によって変わるため、
慎重な判断が必要です。

法的リスクを避けるためには、サービス設計の初期段階で「この機能が異性紹介事業に該当するかどうか」を検討することが不可欠です。
もし判断に迷う場合は、行政書士などの専門家に相談することを強くおすすめします。

異性紹介事業の届け出が必要な理由と法的根拠

出会い系サービスを日本国内で提供する場合、
そのサービスが「インターネット異性紹介事業」に該当するのであれば、
事業開始前に所轄の公安委員会へ届け出を行わなければなりません。

この手続きは、単なる形式的な届け出ではなく、
公的なルールに基づいた運営責任の一環として非常に重要な意味を持ちます。

届け出の根拠となるのは、
風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律、
いわゆる「風営法」の第31条です。
この条文では、異性交際を希望する者をインターネットで紹介・仲介する事業について、
あらかじめ所定の届出を行う義務があると定められています。

届け出を行わずに営業を開始した場合、
その事業者には6か月以下の懲役または100万円以下の罰金といった、
刑事罰が科される可能性があります。

また、悪質と判断された場合は、
警察による立入調査や、業務停止命令を受けるリスクもあります。

このように、届け出を怠ることは非常に重いリスクを伴います。

そもそも、なぜこれほど厳しい規制が設けられているのでしょうか。

その背景には、
過去に出会い系サイトを悪用した犯罪が相次いだ事実があります。
特に、未成年者が被害に遭うケースが多発し、社会問題となったことから、
2003年に風営法が改正され、
インターネット異性紹介事業に対する規制が強化されました。

これにより、単に届け出を行うだけでなく、
本人確認の義務、青少年への対策、不適切利用の防止といった
複数の責務が課されることになったのです。

例えば、利用者が18歳以上であることを確認するために、
運転免許証やマイナンバーカードなどの本人確認書類の提出を求める必要があります。
確認の方法が不十分な場合、たとえ利用規約に年齢制限が書かれていても、
法的責任を免れることはできません。

また、掲示板やチャット機能を通じて違法なやり取りが行われていないか、
運営者は監視体制を整えておく義務もあります。
違反投稿を放置していた場合、
運営者が共犯とみなされる恐れもあるため、
監視システムや通報機能の導入は必須といえます。

届け出を適切に行い、法令に基づいた体制を整えることは、
単に罰則を回避するためではなく、
利用者の信頼を得るためにも欠かせない要素です。

インターネット上での出会いは、
一歩間違えば大きな社会問題へと発展する可能性を持っています。
だからこそ、
出会い系サービスを提供する企業や個人には、
その責任と覚悟が強く求められているのです。

出会い系サービスを行う際の、利用規約作成と届出のポイント

出会い系サービスを運営する際には、
風営法に基づく「インターネット異性紹介事業」の届け出が必須です。
ただし、届け出だけでは十分とはいえません。
安全かつ適法にサービスを提供するためには、
サービス内容に即した「利用規約」の整備も極めて重要です。

利用規約についてIT専門の行政書士が解説しますと、
届け出の段階で提出が求められる書類には、
サービスの概要、本人確認の方法、
サイトの構成図などが含まれます。
これらは警察がサービスの実態を把握し、適切に審査するための資料です。
その中には、
利用規約や利用者管理に関する体制も確認される項目があります。

事業者は、ウェブサイト上に「18禁」「18歳未満は利用できません」等、児童が出会い系サイトを利用できない旨の文言を見やすいように表示しなければいけません。
この点がはっきり記載されていることが、届出上重要視されます。

したがって、
利用規約は単なる内部の決まりごとではなく、
行政への説明責任を果たすための文書でもあります。
ここに不備があると、届け出が受理されない、
または指導の対象になるおそれがあります。

利用規約に盛り込むべき主な項目

利用規約には、
次のような内容を明確に記載する必要があります。

  • 18歳未満の利用を禁止する旨
  • 年齢確認に必要な本人確認書類の提示義務
  • 禁止行為(援助交際、売春行為、違法勧誘など)の明示
  • 利用者が規約違反をした場合の措置(強制退会、通報など)
  • 運営者の責任範囲と免責事項

また、
これらの規約は、
利用者がアプリやサイトを利用する前に必ず同意を得る仕組みとする必要があります。
「利用規約に同意する」チェックボックスの設置や、
登録前に全文を確認できる画面の表示などがこれにあたります。

本人確認の実務と書面の整備

風営法では、
18歳以上の利用者であることを確認する義務が明記されています。
この確認には、運転免許証、健康保険証、
マイナンバーカードなどが使われます。
サービス上でこれらの書類の提出方法、確認手順、保存期間についても、
利用規約やプライバシーポリシー内で明記しておく必要があります。

加えて、個人情報の取り扱いについても、
プライバシーポリシーと整合性を持たせることが大切です。
収集した情報をどのように利用し、第三者に提供するか否か、
保存期間はどれくらいかなど、具体的な記載が求められます。

行政書士に相談するメリット

これらの規約や体制整備は、
一見するとテンプレートで済みそうに見えるかもしれませんが、
実際には各サービスの構造に合わせたカスタマイズが不可欠です。
特に行政からの指摘を受けにくい構成にするためには、
法律と実務を熟知した行政書士の関与が効果的です。

届け出と規約整備はセットで対応すべき課題です。
どちらか一方が不十分であると、
法令遵守の観点からサービス全体が危険にさらされます。

出会い系サービス運営でよくある法務のトラブル事例

出会い系サービスを提供する際、
法令遵守が極めて重要であることは言うまでもありません。
しかし、実際の運営現場では
さまざまな法務的トラブルが発生しています。
中には事前に対策を講じていれば防げたものも多く、
これらの事例を知っておくことは、トラブルの未然防止に直結します。

届け出を怠ったことによる摘発

もっとも典型的なトラブルが、
インターネット異性紹介事業としての届け出をせずにサービスを開始し、
後に警察の摘発を受けるケースです。

たとえば、
「これは恋愛目的のサービスではない」
「ただのコミュニティ掲示板だ」と判断して届け出をしなかった結果、
異性交際を目的とした書き込みがユーザーによって行われていたことで、
違法営業と見なされた事例があります。

このような場合、
運営者は風営法違反で書類送検される可能性があり、
最悪の場合、事業の継続自体が不可能になることもあります。
また、違反の事実が報道などで公表されれば、
ブランドイメージや信頼性は大きく損なわれます。

未成年利用者によるトラブル

年齢確認の体制が不十分であることにより、
18歳未満のユーザーが登録・利用し、後に問題が発生するケースもあります。

風営法では、
18歳未満の利用を明確に禁止し、
かつ年齢確認を義務付けています。
この確認が形だけになっていた場合、
つまり、単なる「生年月日の入力」や「チェックボックス」だけでは不十分とされ、
重大な法令違反と判断されることがあります。

未成年者が絡んだ事件が起きた場合、
その背景にある本人確認体制の甘さが問われ、
運営者には大きな責任がのしかかります。
実際に、複数の運営会社がこの問題により行政指導を受け、
サービスの改善命令や閉鎖を余儀なくされたケースもあります。

サクラ行為と誤認される課金誘導

一部の出会い系サービスでは、
ユーザーに対して過度な課金を促す仕組みが問題視されています。
特に、運営側が用意した“サクラ”によって会話を盛り上げ、
メッセージごとに課金を発生させるモデルは、
消費者からの苦情や訴訟の原因となっています。

また、サクラではない場合でも、
ユーザーが「これはサクラではないか」と疑うような構成や対応をしていると、
トラブルに発展しやすくなります。

この種のトラブルでは、
消費者庁や国民生活センターなどに相談が寄せられ、
調査の対象になることがあります。
利用者との信頼関係を損なうリスクが非常に高く、
透明性のある運営方針と課金モデルが求められます。

違法投稿の放置による責任追及

出会い系サービスの中には、
ユーザー同士が自由にメッセージや投稿を行える仕組みが多くあります。
この自由な交流の場が、違法な目的や内容に利用されることも少なくありません。

具体的には、
援助交際や売春の勧誘、薬物の取引、反社会的勢力による接触などが含まれます。
これらの投稿を放置していた場合、
運営者が「違法行為の黙認または幇助」と見なされる可能性があります。

対策として、
運営者は投稿内容を監視し、
違反があった際に即座に削除・対応できる体制を整備することが求められます。
さらに、通報機能や自動検出システムの導入、
利用規約に違反行為の定義と対応を明記するなど、
事前の設計が重要です。

規約不備による利用者との紛争

利用規約が曖昧だったり、
現実のサービス運用と一致していない場合、
利用者からのクレームや法的紛争に発展することがあります。

たとえば、
強制退会処分を行ったユーザーから「不当な対応だ」と訴えられた事例や、
退会後もデータが残っていたことからプライバシー侵害を主張されたケースもあります。

このような紛争を防ぐには、
規約の内容を明確にし、
利用者が納得できるよう丁寧に説明することが大切です。
また、運用ルールと規約の整合性を常に確認し、
必要に応じて改訂を行うべきです。

まとめ

出会い系サービスは、
現代における新たな出会いの形として定着しつつあります。
しかし、
その運営には高度な法的配慮と、継続的な管理体制が欠かせません。

特に日本国内でサービスを提供する場合、
風営法に基づいた「インターネット異性紹介事業」の届け出が求められます。
届け出を怠れば、罰則や業務停止といった重い行政処分を受けるリスクがあります。

届け出を行う際には、単に書類を提出するだけでなく、
サービス内容や本人確認方法、
利用者管理体制などについても詳細に説明できる状態であることが必要です。

安全な運営のために必要な視点

出会い系サービスの安全な運営を実現するには
次のような視点が重要です。

  • 法令を正しく理解する
    自社のサービスが異性紹介事業に該当するか、
    初期段階で判断することが大切です。
    解釈に迷う場合は、専門家の助言を仰ぐべきといえます。
  • 利用規約を明確に整備する
    禁止行為、年齢確認の方法、退会処理のルールなど、
    利用者に対して透明性の高い規約が必要です。
  • 監視・通報体制の構築
    違法な投稿や不適切なメッセージが発生した際、
    迅速に対応できる体制を整えることが不可欠です。
  • 定期的な見直しと改善
    法改正や社会状況の変化に応じて、
    規約や運営方針を柔軟に見直す姿勢が求められます。

ウェブサービス法務専門の行政書士に相談する理由とお問い合わせ案内

出会い系サービスの運営においては、
法令の理解と実務への正確な反映が必要不可欠です。
その中でも風営法に基づく異性紹介事業の届け出は、
専門的な知識と行政手続きの経験を要する分野です。

当事務所では、単なる書類の作成にとどまらず、
サービス内容の適法性の判断、
本人確認体制の構築、
利用規約の見直しなど、
運営全体のリスク管理をサポートいたします。

特に以下のような方は、早期の相談をおすすめします。

  • 異性紹介事業に該当するか判断できない
  • 届け出の方法や必要書類が分からない
  • 利用規約やプライバシーポリシーを整備したい
  • 過去に警察から指導を受けたことがある
  • 安心して事業を継続したい

こうしたご相談には、
初回ヒアリングから丁寧に対応し、
実務に即したアドバイスをご提供いたします。
また、オンライン対応も可能ですので、
全国どこからでもご相談いただけます。

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